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学校長 菅原出の「飛耳長目」 - 2022年11月19日

Nov 19, 2022
菅原出の連載コラム

こんにちは!オンラインアカデミーOASIS学校長の菅原出です。

 

今週もいろんな事件が起きました。

1115日には、ウクライナ国境に近いポーランド東部にミサイルが着弾して2名が死亡したことが伝えられ、一部のメディアは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるポーランドが攻撃を受けたことから、ロシアとNATOの軍事衝突に発展する可能性があると報道。
SNSなどでは“これで第三次世界大戦が始まる”などとセンセーショナルに語る人たちもいました。

私もいくつか問い合わせを受けましたが、第一報を受けての所見は、

  1. すでにこの時点でロシアがポーランドへの攻撃を否定しており、自分たちの兵器ではないと発表していたこと
  2. もしアクシデントでロシアのミサイルがポーランド領内に着弾したとしても、ロシアがポーランドを攻撃したことにはならないこと
  3. 米国やNATO指導部もこれまでロシアとの直接的な軍事衝突を避けようと努めてきたこと

上記を考えて、「エスカレーションはない」と判断しました。

そこで、「ここから一直線にエスカレーションしないように、バイデン政権としてはNATO同盟国の防空システム強化を約束するなどしてなだめるだけではないか」と指摘しておきました。
するとその後、バイデン大統領は「軌道を考えるとロシアから発射された可能性は低い」と述べ、それからしばらくして、今度はポーランド政府が「ロシアではなくウクライナの迎撃ミサイルだった」と発表、緊張が緩和されました。

ロシアはこれまで一貫してNATOとの軍事衝突に発展しないように注意深く攻撃をしてきました。米国側もNATOとロシアの衝突にエスカレートしないように、ウクライナに供与する兵器のレベルも慎重に検討してきました。このように両勢力共に戦争をエスカレートさせないように管理してきましたが、その基本的な戦略構図が変わるような事態が起きたのかどうか、米露がこの紛争における目標を変えたのかどうか、その辺りを冷静に見ていれば、「エスカレーションない」との判断ができたと思います。

国際政治の勉強を重ねていけばこうした情勢分析ができるようになり、メディア情報に振り回されることなく、リスクを的確に見積もることが可能になります。
これから、このような事案が頻繁に発生するようになりますので、自身で情勢を分析・判断し、他社に先んじて正しいビジネスや投資の判断をするためにも、国際政治、外交・安全保障分野の知識が重要になります。

11月8日には米国で中間選挙が行われ、上院は民主党が多数派を維持し、下院は共和党が奪還したことが伝えられています。今回の中間選挙が今後の米国政治や対外政策にどんな影響を与えるのか?
1128日(2000-2100の「教えて〇〇先生」では、早稲田大学公共政策研究所招聘研究員でアメリカ政治がご専門の渡瀬裕哉先生をお招きして、米国の最新事情についてお話をうかがう予定です。皆様奮ってご参加ください。

また渡瀬先生の講義シリーズ「アメリカ政治の勘所」もスタートしますので、楽しみにお待ちください。

11月9日には古澤忠彦先生の「中国の海洋覇権思考②」も公開されています。是非ご視聴ください。

世界は今、100年に一度の大きな変動期を迎えています。歴史や地政学をはじめ、国際政治や安全保障を基本から学ぶことが、今こそ必要とされています。

是非一緒に学んでいきましょう!

 

菅原 出

OASIS学校長(President