北朝鮮は9月25日から10月9日、戦術核運用部隊の軍事訓練を行い、計12発に及ぶミサイル発射した。10月4日には日本上空を通過し約4,600Km飛翔した中距離弾道ミサイルを発射した。各種ミサイルが発射される中で水中発射場からの弾道ミサイルの発射も行われた模様である。 北朝鮮はミサイルのみならず、6日に長射程砲部隊と連携したとする計12機の戦闘機などが、韓国軍の設定する「特別監視線」を越える飛行を行った。これに対し韓国軍は戦闘機約30機を出動させ対応した。さらに、8日には北朝鮮史上初めて約150機の軍用機を出撃させた航空攻撃総合訓練を行ったという。 この戦術核運用部隊の軍事訓練は、戦争抑止力と核反撃能力を検証・判定し、米韓軍の威嚇的な軍事訓練に対して、強力な軍事的警告を送るために党中央軍事委員会が決定した訓練であると明らかにされた。 確かに、米韓軍は9月下旬に米空母「ロナルド・レーガン」を含む海軍艦艇約20隻が日本海で合同演習を行った。米空母が参加する演習は5年ぶりとなる。さらに、北朝鮮の軍事訓練に対応するため韓米軍は10月初旬にも海上機動訓練や、多国間機雷戦訓練を実施した。 こうした北朝鮮の軍事対応は、2021年1月の第8回党大会で示されたアメリカとの軍事的対決路線に基づくものである。党大会では具体的にICBMの高度化、極超音速滑空弾頭、戦術核兵器などの強化を挙げており、北朝鮮の対米対決姿勢強化の方針に基づき生起した摩擦とも言える。 さらに、ロシアのウクライナ侵攻は朝鮮半島に大きな影響を与えている。北朝鮮がロシアの軍事作戦に外交上の支持を与えるのみならず、北朝鮮労働者の派遣、弾薬を提供するとの情報も流れてきている。北朝鮮の一連の軍事活動は苦戦を強いられるロシアを支援する対米第2戦線と評価することもできるのではなかろうか。 こうした朝鮮半島の軍事情勢について理解を深めるためOASISで講座収録しているので、ご視聴いただければ幸いである。 |